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SVの時間管理術 ~戦略的合宿のススメ~
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HUMAN

形柳亜紀

2021.08.05

流行りの合宿

東京オリンピックが盛り上がっている中、私の中では「合宿」が流行っている。

合宿と言っても、誰かと どこかで泊って何かを練習する のではなく、1人で自席以外のどこかで仕事をするというだけの取組である。
会議室で行うこともあれば、最近は弊社にも「集中ブース」なるフリーアドレス席ができたので、そこに道具を持ち込んで仕事をするだけだ。場合によってはそれが自宅なこともある。

ただそれだけのことであるが、同僚にも「明日は合宿だから会議はできない」と宣言もするし、スケジュールにも「合宿」と登録し、他の予定が入らないようにしている。
そのためか、先日たまたま合宿中に、私が大変尊敬する女性の大先輩からチャットを頂戴したときの書き出しは、まさかの「形柳さん、合宿中にすいません。」であった。
こちらは、ただ場所を変えて作業することを勝手に「合宿」と呼んでるだけなので大変恐縮するとともに、私の勝手な「合宿」の理解が多少なりとも社内で広がっていることを感じた次第だ。(もしかしたら本当に合宿をしていると思ったのかもしれない)

さて、その合宿でやっていることは、「なんか重要っぽいけど、急いではなくて、何からやったらいいのかすら見当がつかない」仕事である。社会人になった時に習う「時間管理マトリクス」で言うと、②の領域の仕事だ。


合宿のルール

私の合宿にはルールがある。

まず、上記の②の領域の仕事しかしないことである。
急いでいる仕事は、「合宿をするぞ」という気合を入れている暇もないからである。(現にこの原稿はとっくに締め切りを過ぎているので必死で自席でやっている)
重要ではない仕事は、気合を入れる必要もない。

次に、日付を事前に決めることである。
「今日、意外とやることないから、合宿しよう」という気まぐれではなく、合宿を事前に計画する。そうすることで、「重要っぽいけど、急いではなくて、何からやったらいいのか見当もつかない」仕事を「合宿をする」というお題目の元、先送りにできる。「来週合宿するから、今日はやらなくていいや」ということである。

最後のルールはポモドーロテクニックである。
ポモドーロテクニックは、イタリアで生まれた時間管理術で、タイマーを使用して25分の作業と5分の休憩の1セットを「ポモドーロ」と呼び、4ポモドーロで30分休憩できるという時間管理術である。ポモドーロ中に作業を中断して別のことをしてはいけないルールになっている。そのため、ポモドーロ中はメールのチェックもチャットの返信もしてはいけない。(私はチャットの通知をオフにするようにしている)そして25分経ったら必ず休憩しないといけない。

私の場合は、25分の作業時間だとさすがに短いので、55分+5分のポモドーロで合宿をしている。ポモドーロ毎に実施するべきことをあらかじめ紙に書いて計画しておき、1ポモドーロが終わるたびに計画にチェックを入れていく恰好である。ポモドーロに入ると、なぜだか、やらざるをえない切迫感に迫られる気がする。

ポモドーロテクニックは、勉強などにも使われており、専用のタイマーも売っているくらいなので、作業に集中する方法としては大変おすすめだ。(このタイマーはポモドーロテクニックの管理ができるだけでなく、試験まであと何日かもわかる)


合宿の結果、残念ながら何も思いつかずに終わることもあるが、「なんかわからないけど、得体が知れない仕事を持っていて不安」という状況からは抜け出せる。

センターで重要な仕事を必ず遂行するには

さて、スーパーバイザーという職業は、常に ナガラ仕事 である。

報告書を作り”ながら”、エスカレーション対応
モニタリングをし”ながら”、エスカレーション対応
ひどいときは、研修し”ながら”、エスカレーション対応
こんな具合だ。

私が現場にいた時、後輩のスーパーバイザーにチャレンジさせようと新しい上記の②領域の仕事を依頼しても「エスカレーションが多くてできませんでした」と言われてしまったことが何度もある。スーパーバイザーは多忙なのだ。

そのような中で、「重要っぽいけど、急いではなくて、何からやったらいいのか見当もつかない」仕事なんて進むだろうか。ルーティンのデスクワークすら、ままならないのに。

しかしながら、このような重要な仕事をどこまで遂行できるか、がセンターの品質なのである。今日も明日も改善できるセンターは、②の領域の仕事ができるセンターだ。だからこそ、センターには、「合宿」が必要なのだ。

センターで合宿をするための下準備

センターで合宿をするためには、センターの稼働状況との兼ね合いがある。センターが全然回っていないのに、合宿ができるわけがない。ではどうするのか。
まずは計画するのだ。

下のグラフは、センターの入電に合わせたスーパーバイザー必要人数と実際のスーパーバイザー出勤数のグラフである。ピンクのグラフは応答計画であるが、このセンターはAMの入電が多く、午後にかけて減っていくセンターである。つまりオペレーターの数もAMからPMにかけて減っていく傾向があることが想像できる。しかしスーパーバイザーは、フルシフトでかつセンターは9時から20時までなので、早番シフトと遅番シフトが存在しており、入電が少ない午後の時間帯に早番SVと遅番SVが重なる時間が生じる。この時間が合宿チャンスなのである。


はじめにやることは、どの時間帯に何名のスーパーバイザーが現場に必要かを決定することだ。
例えばオペレーター6名に対して1名のスーパーバイザーが必要なのであれば、

オペレーター20人で3名、多くても4名である。(20÷6)
オペレーターが10名の時間であれば、SVは1名ないし2名でよい。(10÷6)

現場に必要なスーパーバイザー数を時間帯ごとに規定することが大事である。そうすると、時間帯ごとに合宿をしてもよいスーパーバイザー数が見えてくる。

次に、このセンターに生じる「合宿チャンス」の時間に、どのスーパーバイザーが何の合宿をするべきなのかを毎日決めておくとよい。センターのスーパーバイザーごとに重要な仕事を持っているわけだから、その仕事をスーパーバイザー間で共有し、優先順位を付けたうえで、取り組む時間を事前に計画すれば、きっとその重要な仕事を実行できる。
それはセンターの品質向上につながっていく。

合宿中は、センターから離れて会議室等で作業をするのがよい。「同時に手が上がったから」などの理由でエスカレーションによる中断が生じることを防ぐためだ。

現場は大変かもしれないが、オペレーターの人数に対して、何名現場に必要なのか、ということを事前に決めているので、回せるはずなのだ。
仮に回せない場合は計画の修正が必要だ。合宿を取りやめて、現場に入ってもらうことや、オペレーター人数に対するスーパーバイザー比率の見直しなどが必要だ。一番ダメなのは、なし崩し的に、合宿中のスーパーバイザーが現場を回している状態だ。
これが常態化してしまうと、残業が長くなったり、センターの改善が難しくなってきてしまう。

この予定を1日だけでなく、1週間を通じてスーパーバイザーのスケジュールを立てていくと、スーパーバイザー個々人が持っている重要タスクに集中できる時間がどこかで出てくる。(もちろん入電の波に合わせることが前提である)

合宿に向けた心構え

最後に合宿に向けた心構えついてお話ししたい。

合宿を円滑に回すためには、イメージトレーニングが大事だ。

皆さんが学生時代にやってきた部活の合宿も、きっとスケジュールがあったはず。
初日に素振りして筋トレしてランニングして、技の練習をして、2日目にちょっとした校内での試合をして、3日目に他校と練習試合をするというように。

合宿で何をするのかをイメージしておかなければ、「何をしよう。。。」で終わってしまう。
なので、そんなにじっくり計画を立てる必要はないのだけど、簡単にアジェンダは決めてしまおう。

アジェンダははこんな感じだ。
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ポモドーロ① 手本となる音声を洗い出て聞く
ポモドーロ② 応対が上手な人の傾向を箇条書き(ノートでマインドマップ)
ポモドーロ③ 改善トレーニング手法をまとめる(Excel)
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アジェンダを考えると、参考になりそうな本をイメージしたり、考えるときにどのノートを使うか、どんなペンで書くか、はたまた付箋か、など、合宿の運営に必要なことのイメージが止まらなくなる。そうすると、日々の業務で発生するいろんなことが合宿のネタになってアイデアも熟成されていくのだ。そうすると、だんだん合宿が楽しみになって、素敵な合宿ライフになるだろう。

時間が捻出できたスーパーバイザーが行うべきことは、よいアウトプットをすること。
ぜひ、今日から戦略的な合宿で、センターの本質的な価値を高めていこう。


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